年金コラム その1 【死亡一時金】
Q:「佐藤道子さん(仮称)50歳は自営業で長年にわたって花屋さんをしていました。道子さんは国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を毎月きっちりと納めており、老齢の年金を65歳から受給するのを楽しみにしていました。しかし、大変不幸なことに50歳という若さで事故で亡くなってしまいました。道子さんには宏(仮称)さんという夫がいました。2人の間には子供はいませんでした。この場合、宏さんは何らかの年金を請求できるのでしょうか。」
A:このケースでは、宏さんは「死亡一時金」を請求できる可能性があります。
佐藤道子さんが自営業者として国民年金第1号被保険者であり、保険料納付済期間等が36月(3年)以上あり、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給せずに亡くなられた場合、宏さんは死亡一時金を受け取ることができます。死亡一時金は年金ではないため一度きりの給付となります。
死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納めていた方が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給する前に亡くなった場合に、生計を同じくしていた遺族(順位有り)に対して支給される給付金です。死亡一時金は納めた保険料が掛け捨てになってしまわない為の制度です。
死亡一時金の額は、保険料納付済期間等の長さによって異なります:
- 36月以上180月未満:120,000円
- 180月以上240月未満:145,000円
- 240月以上300月未満:170,000円
- 300月以上360月未満:220,000円
- 360月以上420月未満:270,000円
- 420月以上:320,000円
付加保険料を3年以上納付していた場合は8,500円の加算があります。
請求手続きは、道子さんが亡くなってから2年以内に行う必要があります。必要書類を揃えて、お住まいの市区町村の国民年金窓口か年金事務所で手続きを行ってください。
【補足】 もし道子さんに厚生年金保険の加入期間がある場合は、状況が変わってきます。例えば、以前会社員として働いていた期間があれば、道子さんの受給資格期間が25年以上ある場合、宏さんの年齢によりますが、宏さんは生計維持要件を満たせば「遺族厚生年金」を受給できる可能性があります。
また、仮に2人の間に18歳年度末までの子供(障害のある子は20歳未満)がいた場合は、宏さんは生計維持要件を満たせば子の加算がついた遺族基礎年金を受給できる可能性があります。この場合、死亡一時金は支給されません。
このように個別の事情により受給できる年金の種類は異なるため、専門家でないと判断は難しいです。もし、ご自身が不幸にもこのような状況になった場合は最寄りの年金事務所にご相談に行ってください。
お身体の調子が悪かったり、ご多忙で年金事務所に行けない方は当事務所に手続きをご依頼頂ければ、専門的知識に基づき迅速にご対応致します。